残業なし・ノルマなし……
ヤマシンフィルタの逆転の発想

 ヤマシンフィルタでは2015年から営業・開発を含めて、決算期などの一部職種の例外を除いて、全く残業していません。全員が毎日定時に退社します。

 以前は、顧客が世界中に存在することから残業時間も長かったそうですが、2015年10月にマーケットが落ち込んだことをきっかけに、残業を一切しない前提ですべての仕事のやり方を考え直しました。

 働き方改革といっても、現場に残業時間を減らすことを命じるばかりで、経営者や管理職は、今までと同じように業務を指示するという企業も少なくありません。

 しかし、ヤマシンフィルタのように全社で働く時間をしっかりと決めてしまうことで、本当の意味で働き方の創意工夫が始まります。

 また、驚くべきことに、ヤマシンフィルタの営業職にはノルマがありません。圧倒的な技術力があるがゆえに、「きちんと仕事をしていれば、いちいちノルマを設けなくとも取引をしっかり獲得できる」という考え方です。

 ノルマを設定し、ノルマについて上司が部下をせっつき、日々数字を確認していると、部下は顧客を見ずに上司や数字ばかりを見るようになり、それが行き過ぎると不正につながることもあります。確かに仕事のやり方と、成すべきことを社員が正しく認識していれば、ノルマを管理することには非効率な面が多くあります。

 通常、上場を目指す企業というのは、財務的な目標値や数値による目標達成度を把握するため、営業ノルマをしっかりと管理していこうと考えるケースが多いものです。しかし、目的は企業が成長することであり、そのためには従業員全員が力を合わせる必要があります。

 そこで「ノルマをなくすことで、個人プレーに走ることなく一人ひとりがのびのびと能力を生かして成果を上げるようになる」という、まさに逆転の発想によって、働き方の本質を追求している例といえます。