写真はイメージです Photo:PIXTA

 市営住宅を含む公営住宅の老朽化問題の解決は、待ったなしの状況だ。現在、築後30年以上の公営住宅は全国に130万戸(H27年3月末時点)(※)以上存在し、多くの地方公共団体では老朽化した公的不動産の維持、更新費用の増大に頭を抱える。

 大阪府大東市は、官民連携による全国初の市営住宅の建替え、再開発プロジェクトを進める。市にとって重荷とも言える老朽化した市営住宅を民間企業が主導して建替え、店舗やオフィスなどを開発し、建物の所有まで行うというもの。

 官民連携と言っても、民を担うのは大東市が全額出資をして設立した民間企業、大東公民連携まちづくり事業株式会社(以下、まちづくり事業会社)だ。官民連携の土地開発では、岩手県紫波町の「オガールプロジェクト」が有名で、大東市もオガールプロジェクトの手法を踏襲する。

 一方で、大東市のプロジェクトで特筆すべきは、建て替え後の市営住宅の所有を、市が設立した民間企業へ移していくスキームだ。この手法は従来になく新しいもので、動向に期待がかかる。

(※)国土交通省「公営住宅等長寿命化計画策定指針(改定)」より

大東市のスキームは公的不動産の出口戦略となるか

大東市の市営住宅 全国で公的不動産の老朽化が進む 出典:まちづくり事業会社

 将来的に、人口減少などの理由で公営住宅の需要減は加速する。立地が良ければ、再開発を進める企業も存在するが、悪条件の土地や過疎地域で手を上げる企業は限られる。大東市が主導するプロジェクトの事例やノウハウが共有されれば、自治体が自らの意思で地域に事業を興すことができるようになり、公的不動産の出口戦略として、新たな一手になり得るかもしれない。

 もちろん、プロジェクトは一筋縄で行くものではなく、奮闘は続く。取材をもとに取り組みとその可能性について考察する。