
加藤年紀
役所は「出る杭は打たれる組織」である。民間企業は社員一人一人が個人としての能力を発揮できる環境を整えたり、モチベーションを高めることで業績を伸ばす方向に動いている。一方で、役所は前時代的なマネジメントから脱却できておらず、役所組織の都合を職員に強いる。本稿では、自治体、公務員に取材を重ねている筆者が、「公務員による公務員バッシング」という不毛な仕組みを解き明かす。公務員はなぜ公務員を攻撃し、組織が停滞する状況を生み出してしまうのだろうか。

オンラインサロンというサービスをご存じだろうか。主にウェブ上で展開されるコミュニティであり、その多くは会費制をとっている。有名なインフルエンサーが運営するオンラインサロンが、twitter上で炎上するような事例が最近でもある。しかしながら、オンラインサロンの運営に携わる筆者としては、オンラインサロン全てが信頼できないものだと一緒くたにされてしまうことを危惧している。

歴史を振り返ってみても、まるで人間の本能に備わっているかのように、権力は腐敗し利権が生まれていく。しかしながら、大阪府四條畷市の取り組みを取材すると、脱利権を推進できる可能性を強く感じた。

「公務員を調子に乗らせて何がしたいのか?」――。地方公務員の成果や実績を表彰する『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2018(以下、地方公務員アワード)』の結果発表を行った。筆者が主催する地方自治体情報メディア「HOLG.jp」が、8月20日から25日にかけて実施したイベントである。冒頭のコメントは、2017年に開催された同アワードに際して寄せられたものだ。

市営住宅を含む公営住宅の老朽化問題の解決は、待ったなしの状況だ。現在、築後30年以上の公営住宅は全国に130万戸(H27年3月末時点)以上存在し、多くの地方公共団体では老朽化した公的不動産の維持、更新費用の増大に頭を抱える。

各メディアに寄せられるコメントを眺めてみると、国民一人ひとりが着実に発信力や存在感を増しており、メディアとの関わりを通じ、国民が「第5の権力」として君臨する前兆を強く感じる。日本の民主主義の質を高める上では、それは歓迎すべきことのように思う。

直近の財務省事務次官のセクハラ疑惑による辞任問題に加え、公文書管理、森友・加計問題など、政治行政にまつわる報道が注目を浴び、批判の矢面に立つ人が後を絶たない。報道領域を政治行政だけではなく、芸能人やスポーツ選手、著名人などに広げると、毎日、誰かがバッシングを受けることが当たり前の社会が我々の眼前にある。

人口減少は邪悪なものという論調が多い。「地方消滅」などと刺激的に表現されることも相まって、「人口減少に抗うために」というフレーズも目にする。しかし、そもそも人口減少は抗うべき対象なのだろうか。

公務員は、勤続年数が基本給に直結する。この年功序列の給与制度に対して、批判や懐疑的な意見が飛び交って久しい。平成も30年になり、時代は移り変わる中、年功序列は今もなお公務員組織に根付いている。地方自治体もその例外ではない。

自治体職員の異動は約3年周期で繰り返されるが、税務から教育など、専門性の異なる業務領域へ移ることも多い。ノウハウの蓄積を妨げ、業務クオリティの低下を引き起こす懸念から、この異動には度々批判の声が上がる。筆者も異動の弊害を強く感じているが、それ以上に危惧するのは、異動がもたらす、若手・中堅職員の将来への不安である。

出る杭は打たれるとはよく言われるが、圧倒的な成果をあげる自治体職員の多くは組織の中で叩かれている。活躍する自治体職員がメディアに露出することは以前よりも増えたが、彼らの出る杭としての苦悩は世間であまり知られていない。

大阪府箕面(みのお)市では、「公教育改革」が進んでいる。教育委員の過半数を公募することで注目を集める箕面市だが、特筆すべきは、教育現場で“タブー”となりがちな「数値」をもとにした改善だ。

平成27年度の財政支出は168兆3415億円。その内訳は、国が70兆6583億円、地方が97兆6833億円で、地方での財政支出が国より大きい。一方で、各自治体での支出に対する注目や理解はなかなか深まらない。そこで今回は浜松市の取り組みをもとに、財政健全化は民間企業や民間人との協働によって実現できるという事例を示し、成功要因を他の自治体がいかに取り込むことができるかを検討してみたい。

平成27年度の国・地方を通じた財政支出は合計168兆3,415億円で、その内訳を見ると国が70兆6,583億円、地方が97兆6,833億円となる。生活保護のように政府が法で定めたものを、地方自治体が義務的に支出しているような背景も存在する。このように地方自治体が国以上に大きな額の税金を扱っている事実は、世の中であまり認識されていない。
