>>(上)より続く

 おばあちゃんは会うたびに「あんたら夫婦は私に孫がいたらこれぐらいなんだろうねぇ~」と言ってはカバンから駄菓子を出してプレゼントしてくれていたみたいです。さすがは元駄菓子屋のおばあちゃん。

 横山夫妻からの依頼は「仲良くしていたおばあちゃんが詐欺に遭ってしまったので犯人を捕まえてほしい」という内容でした。連載初回で述べたように探偵は逮捕権を持っていません。

 ではなぜ警察ではなく探偵を頼ってきたのか。おばあちゃんが詐欺被害を警察に言うと息子に叱られるから嫌だと、かたくなに被害届を出すのを嫌がっていたのだそうです。おばあちゃんからすると息子に心配かけたくないんでしょうね。横山夫妻は2次被害、3次被害に遭わないように詐欺グループの手掛かりだけでも知っておばあちゃんを守りたかったみたいです。

銀行のカードの暗証番号を
巧みに聞き出した詐欺グループ

 おばあちゃんが被害に遭った詐欺の話ですが、ある日、「○○さんですか?△△銀行なんですけど最近銀行カードがスキミングされて口座のお金が盗まれる事件が数多く起きています。そのご説明に後ほどご自宅に伺います」と電話がありました。

 おばあちゃんからしたら「スキミング???」となります。わざと分かりづらい言葉で説明するのも詐欺師の手口です。30分後おばあちゃんが住んでいるアパートに男性が来て「スキミングされないようにするには銀行カードの暗証番号を変えましょう。今まで何十年も使用していた番号変えるのは抵抗あると思うので今の暗証番号を逆さまにしましょう。ちなみに何番ですか?」と言ったそうです。暗証番号の聞き方が絶妙にうまいですよね。