昨年9月に起きた、千葉大学医学部の学生らによる集団レイプ事件。主犯格の医学部5年、吉元将也被告(23)に対して、千葉地裁は懲役4年の実刑判決を言い渡した。執行猶予なしの実刑判決はけっこう重い。事件に加わった他の学生に関しては、山田兼輔被告が懲役3年の実刑判決(控訴中)、他の学生と研修医は執行猶予付きの有罪判決。すでに一審で判決が出ている学生は、大学も退学処分になっており、吉元被告も判決が出たことで退学処分になることが考えられる。

 悪質化する性犯罪に対しては厳罰化を求める声も高く、5月28日には東大・本郷キャンパスにて、女優の土屋アンナ氏や映画監督の小沢雅人氏らも参加して、厳罰化を求めるイベントも開催された。

 途上国における性被害は想像を絶するものがあるが、欧米・日本といった先進国でも性犯罪、性暴力に対して甘い。アメリカの大学でもキャンパスレイプが社会問題化している。大学内でのレイプ被害は数年間に100~300件を超える学校もあるが、加害者が退学等の処分を受けたのは各校1ケタ数程度。レイプ加害者の多くは、ほとんどなんの罰も受けていないのが実態だ。しかも、レイプ事件そのものを大学が揉み消すこともある。なぜなら、学内でレイプ事件が起きたことが広まって、寄付が減ることを恐れるからだ。また、スポーツのスター選手が不祥事を起こした場合も同様。大学は事件自体をもみ消そうとする。

 大学がそんな態度だから、レイプ事件が減るわけもない。このままでは、アメリカの大学では年間10万人のレイプ被害者が出てしまうという説もある。2015年には、このキャンパスレイプの被害者女性たちの抗議活動を追ったドキュメンタリー映画『ザ・ハンティング・グラウンド』がサンダンス映画祭で上映され大きな話題になった。

 *映画『ザ・ハンティング・グラウンド』の映画レビューはこちら

誰もが巻き込まれる危険性
「痴漢冤罪」

 ところで、性犯罪と言えば痴漢もれっきとした性犯罪だが、ご存じのように、最近では電車の中で痴漢を疑われた男性が線路を走って逃げる事件が相次いでいる。5月15日には、痴漢を疑われた男性が線路に降りて逃走しようとして、やってきた電車に跳ねられて死亡した。5月12日には、JR上野駅で痴漢を疑われた男性が線路を走って逃走。その後ビルから転落死したが、自殺だと見られている。

 痴漢を疑われたが冤罪を主張して(身の潔白を主張して)自殺した例は、これが初めてではない。2009年12月に、大学職員の男性(当時25歳)がJR駅構内で女性とトラブルになり、警官がかけつける騒ぎとなったが、単なるケンカの取り調べだと思って警察署に同行したら、痴漢容疑で取り調べを受けた。そして取り調べの翌日、この男性は地下鉄駅のホームから飛び込み自殺をした。実は、この痴漢容疑は「人違い」だったことが判明していたのだが、この男性は疑いが晴れたことを知らず、容疑をかけられたことに絶望して自殺したとみられている。2012年にはJR西日本の役員男性が、女子高生に痴漢行為をした疑いで逮捕。しかし、役員男性は冤罪を主張し、釈放された直後に首つり自殺している。