転職を繰り返しても収入増が望めない
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格差や貧困問題の是正が放置されているうちに、「アンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)」が900万人を突破、日本は「階級社会」への道を突き進んでいる。中でも「中間階級」が崩壊、新たな貧困層が生まれてきた。それは、どん底一歩手前の「マイルド貧困」とも呼べる新たな階級だ。そこでDOL特集「『マイルド貧困』の絶望」第5回は、会社の経営危機などから異業種に転職せざるを得なくなった契約社員の男性を追った。(ライター 横山薫)

企業の経営不振をきっかけに
スタートした転職人生

 埼玉県の地方都市に住む森田哲司さん(仮名・36歳・独身)は、ビルメンテンナンス会社で働く契約社員。ボーナス60万円を合わせた年収は420万円と決して「下流」や「ワーキングプア」ではないが、「中間階級」ともいいがたい。まさにその“狭間”でもがく「マイルド貧困」の1人だ。

 森田さんは大学卒業後、22歳で中小の広告代理店に入社した。森田さんは当時をこう振り返る。

「年収は1年目から400万円でした。しかも経費も多少使えていたため、夜は『営業先の接待』と称して食事に行ったり遊んだりすることもあって、楽しい会社員生活だったし、ゆとりもありましたね」