(3) 女性の労働参加拡大

「男女平等」とはまだとても言える状況ではないと思うが、それでも相対的に働く女性が増えたし、働く女性の経済的な条件は改善傾向にある。

 女性の労働参加拡大は、結婚しなくても生活しやすくなったことで、結婚という選択肢の価値を引き下げ、同時に結婚して専業主婦になる場合に放棄する経済的条件の価値を引き上げた。

 結婚と専業主婦とをセットで考えるとすると、女性側から見て結婚のベネフィットが低下し、機会コストが増加したといえる。

(4)家庭内労働力の必要性低下

 かつて、例えば農業や商店などを営む家庭にとって、嫁や子どもは重要な労働力源だった。こうした家庭の長男と結婚すると、妻は、家事に加えて、労働力としても期待されるのと同時に、早く子どもを産んで家庭内の働き手の増加に貢献することを求められていた。

 その後、この種の自営業が減って会社勤めが増えると、家庭内の労働力確保のために結婚を成立させるインセンティブが低下した。

 さらに、いわゆる家事労働についても、コンビニエンスストアに象徴されるような単身者向けのビジネスが発達して、「主婦の家庭内労働」に対する需要がかつてほどではなくなった。現在、調理器具なども単身者向けに便利な商品が多数開発されている。

 「妻」あるいは「嫁」をもっぱら労働力の点だけから見るのは何とも露骨な論点で気が差すが、一人暮らしがしやすい世の中になったことで、特に男性側から見た結婚のベネフィットが低下したと考えられる。

(5)勤労者所得の伸び悩みと専業主婦家庭の呪縛

 もちろん、結婚して共働きという選択肢もあり、夫婦が共に働かないと経済的に苦しい家庭が多いという現実もあるのだが、専業主婦家庭を前提に結婚を考える判断上のバイアスがまだまだ根強いように思われる。

 これを「専業主婦家庭の呪縛」と呼ぶとするなら、専業主婦家庭の呪縛は、相手の男性に一定以上の高収入を求める心理と結びつく。だいたい年収600万円以上を求めるケースが多いと聞くが、これを男性側が満たす事が大変なのが現実だ。未婚男性には「年収600万円の壁」があると言えよう。

 若い勤労者の経済的な現実を考えると、共働きを前提に結婚を考えるといいと思うのだが、さらに一歩進めて考えると、共働きで同棲するのがさらに合理的であるような気がしてくる。