2014年から2017年まで、4年連続「視聴率3冠」に輝き、絶好調の日本テレビ。特にバラエティ番組は軒並み高視聴率だが、日本テレビはなぜ、それまで頂点にいたフジテレビを追い抜くことができたのか、その強さの秘密やこれからの課題について、著書に『全部やれ。日本テレビ えげつない勝ち方』(文藝春秋)がある戸部田誠氏に聞いた。(清談社 福田晃広)
ライバル・フジを徹底研究して
「フジがやっていないこと」をやった
「テレビなんてもうオワコンだ」とささやかれる時代に、高視聴率番組を量産し続けている日本テレビ。他局との違いについて、戸部田氏は以下のように指摘する。
「日本テレビの方針として感じられるのは、視聴習慣を徹底的に意識し、番組づくりを行なっている点です。だから、番組開始直後は視聴率が悪くても、簡単にテコ入れすることなく辛抱する。数字が上がればなるべく番組上のフォーマットを大きく変えないのが日テレの強さでしょう。たとえば、1978年から放送が開始され、現在まで続いている『24時間テレビ』なども、構成力がしっかりしているため、毎年ある程度の視聴率をキープしていますよね」(戸部田氏、以下同)
出演者の知名度やキャラクターなどに頼るわけではなく、あくまでも企画がメインだという考え方が、日本テレビの制作局には一貫しているという。その意識改革は、フジテレビが絶対王者だった1992~93年頃にまでさかのぼる。
「1993年4月、日本テレビは大幅な番組改編を行いました。その際、フジテレビと日本テレビの番組表を見比べ、それぞれ何が放送されていたのかはもちろん、1分1秒まで視聴率の動き、どんなタイプのCMが流れていたか、テロップの出し方、番組の終わり方まで徹底的に研究・分析しました。日本テレビが素晴らしいのは、そこで王者・フジテレビのまねをするのではなく、むしろフジがやっていないことをやろうとした。この方針は今でも引き継がれています」
このプロジェクトから生まれたのが、今では当たり前となった「またぎ編成」(00分スタートではなく、数分前倒しで番組が開始すること)や、番組枠内での他番組PR。他局との差別化を図る改革案が行われた結果、1993年、全日帯(6時~24時)の年間視聴率でフジテレビと同率首位になり、そのまま日本テレビの黄金時代へとつながっていった。