周りの目を気にするあまり
趣味を自ら制約している

大塚 確かにそこは制約があると思います。疲れによる制約は、特に首都圏の方は大きいですね。平日に疲れがたまり、週末に出かけようという気になれない、ハイキング用のサンドイッチを作る時間があるんだったら1分でも長く寝ていたいという人が多いでしょう。また、私たちのサポート現場で、皆さんに趣味を伺うと、趣味って何?と逆に聞かれます。自分が時間を使いたいことや、やっていて楽しいこと何でもいいですよ、と趣味という言葉のハードルをかなり下げないと、なかなか出てきません。

永田 そこは文化が関係しますね。おそらく前提には、世の中には「趣味とはこういうもの、こうでなくてはならない」みたいな暗黙の了解がある。そして、自分がやっていることが、その枠組みに入るかどうかが気になるのでしょう。日本も含め集団性や文化的な同質性の強い国々の人たちは、世の中の常識とかルール、つまり自分が属する社会が定める「型」に、自分が収まっていることで安心します。

大塚 加えて、趣味は人に誇れるものじゃなければだめと捉えているのかもしれません。普段やっていて楽しいことなら何でもいいですよとお伝えするのですが、「人様に誇れるような趣味はありません」という答えがよく返ってきます。裏を返せば「こんな趣味があります」ということで周りからよく思われたい人が多いような気がします。

永田 つまり、周りの目を気にするあまり、趣味を自ら制約している。人からどう思われようが関係ないと思うのですが、世の中が定める枠組みや人の目が気になり、構えたり控えてしまうのでしょうね。となると、例えば、日本では「徒歩が趣味です」とは言いにくいのでしょう。「ウオーキング」ならまだ響きがいいのかもしれませんが。実は、僕の趣味の1つは徒歩です。日々、また所変われば異なる街並み、人の姿や自然を発見するのが楽しいし健康にもいい。日本でもよく歩きます。東京では、さすがに真夏や大雨の日はアウトですが、目的地の最寄り駅から2~3駅手前で乗り降りして歩いていると楽しい。また以前は、よく宮崎の実家に帰っていましたが、その度に実家の周りの住宅街や農道を歩いていました。ところが、こんなに自然が豊かなところでも、地元の人たちは500メートル先のコンビニですら車で行く。歩いているのは僕ぐらいで、現地の人たちは僕がまるで変質者かのような視線で見ます(笑)。

大塚 趣味のハードルが高いという点では、ハイキングでもテニスでも何かを始める時に、まずは服装や装備など外観をばっちり固める傾向にありますね。実は私もその傾向があるので何とも言い難いですが(笑)、これも人の目を気にする日本人の文化特性からくるのかもしれません。こんなふうに何かを始めるのに、金額的に高くつくこともある。なので、文化やスポーツが縁遠く感じ、その結果ライフの充実度が低くなり、それが仕事にも悪影響を与えるというのがあるかもしれません。