仕事関係以外で新たに人と出会うチャンスは、案外少ない。しかし、違う業界の人と知り合いたいと望む声は多く、“社外活動”を重要視するビジネスマンは増える傾向にある。
最近の異業種交流の傾向を考えると、浮かんでくるキーワードが「朝活・昼活」だ。特に、若い世代のビジネスマンが求める新しい異業種交流の形がそこにはありそうだ。
「朝活」「昼活」とは、出勤前の朝の時間やランチタイムを利用して、仕事や勉強、趣味、フィットネスなどの自分磨きを行なうことであり、個人的な取り組みを指すこともあれば、勉強会や習い事など外での活動を表す場合もある。
注目すべきは、「朝活」「昼活」の魅力の1つに、人との出会いを挙げる人が非常に多い点だ。
勉強会に参加したとしよう。そこに集うのは、業種は違えど同じ目標や嗜好を持った人たち同士なので、会話の糸口はいくらでもあるし、勉強会では交流がメインではないので、気負いなく自然にコミュニケーションできる。出勤前やランチタイムといった限られた時間であることも、交流を気軽なものにしてくれる要因となっているようだ。
昨年10月にローンチされた『ソーシャルランチ』によって、昼活はより自由なものになったと言えるかもしれない。ご存じの通り、『ソーシャルランチ』とは、Facebookの登録情報を活用し、2対2のランチをセッティングするサービスだが、発足以来着実にユーザーを増やしている。運営するシンクランチ株式会社によると、現在の会員数は3万5000人を突破。ユーザーの年齢層は20~30代が多いそうだ。
SNSの浸透、特に実名制のFacebookの功績により、人とのつながり方自体が変化しているのだろうか。同僚や友人とペアになれるとは言え、初対面の相手とランチを共にするなんて、ひと昔前ならちょっとありえないシチュエーションだが、今なら“あり”な感じがする。
『ソーシャルランチ』には、“積極的にならなくていい”という魅力がある。システムがおすすめのランチ相手を提案してくれるので自分で探す必要はないし、出会いは決まって2人ずつ。「何としても人脈を広げたい!」と意気込む人には不向きだろうが、「ちょっと話をして刺激を受けたい」くらいの気持ちにはぴったり合う。
最近の若者は、概して人付き合いが苦手だと言われているが、今、彼らは自分たちなりの方法・距離感で交流を楽しんでいる。そこには、「積極的にはなれないけれど人とつながっていたい」という、裏腹な若者気質が見え隠れする。
(おおたゆうこ/5時から作家塾(R))