TwitterやFacebookなど、私たちの周りで急速に普及しつつある「ソーシャルメディア」。そんな中、一風変わった「Cheerz」(チアーズ)というソーシャルメディアサービスが公開された。
「Cheerz」の最大の特徴は、「ソーシャルレイヤー」という概念を用いている点。聞き慣れない言葉だが、特定のサイトに縛られることなく、ネット上の全てのサイトで様々なコミュニケーションを愉しむことができるというものだ。
「従来は、同じサイトを見ている、もしくは見ていたユーザーがいるにもかかわらず、その人たちの存在を知る術がありませんでした。そこで、どこのサイトでも“見ている/見ていた人”がわかり、かつ、交流できるサービスをつくりたいと考えたわけです」(KLab株式会社 社長室 事業開発グループ 荒木康介氏)
つまり「Cheerz」を導入したユーザーは、話題の動画を見ている者同士でチャットを愉しんだり、あるいは同じニュースサイトの記事を読んでいるユーザー間で、議論に花を咲かせるといったことができる。これまで通りにブラウジングしているだけで、どのサイトにおいても、チャットや掲示板、サイトの評価といったソーシャル機能を利用できるようになるのだ。
「Cheerz」を利用するには、ユーザー登録を済ませた後(この際にTwitterかFacebookのアカウントが必要)、専用アドオンをブラウザにインストールする。ログイン状態になると、ブラウザの画面下に、同じサイトを見ているユーザーのアイコンがずらりと並ぶ。左端には掲示板も登場し、そこにサイトの評価や、コメントを残すことができる。また、お互いに星を送りあう「Smile!」という簡単なコミュニケーションツールも用意されている。
もちろん「Cheerz」で可能なのは、不特定多数との交流ばかりではない。友人を「Cheerz」に招待したり、自分の見ているサイトに呼ぶこともできる。ウェブサイトのURLをTwitterやFacebookに共有する機能があるので、コメントを添えて送信すればオーケー。この場合、必ずしも相手が「Cheerz」ユーザーである必要はない。
さらに「ソーシャルレイヤー」は、企業などのサイト運営者にも大きな利点をもたらすという。
「これまでのように、企業コミュニティをSNS内につくる必要はなく、自社のサイト上に直接コミュニティを構築することができるようになります。これは、SNSに奪われていた自社サイトのトラフィックを取り戻せるというメリットがあります」(同氏)
サイト運営者にとって、自身のサイトをどのようなユーザーが閲覧しているのかをリアルタイムで確認できるのは、大きな魅力であろう。のみならず、能動的に閲覧ユーザーに働きかけることも可能だ。たとえば、サイト上でイベントを開催して商品PRをしたり、ECサイトであれば訪れた人に接客をしたり、要望を聞いたりするといった使い方も考えられる。
年内に100万ユーザーの獲得を目指すという「Cheerz」だが、サイトの壁を超えた「コミュニケーションプラットフォーム」となるポテンシャルは、十分に備えている。思わず応援エールを送りたくなるような、興味深いサービスの誕生と言えそうだ。
(中島 駆/5時から作家塾(R))