Facebookユーザー数の増加に伴い、ネットでの「実名制」への抵抗感が少なくなりつつある昨今、ソーシャルメディアを介した朝活や読書会といったイベントが活況を呈している。
従来から、ハンドルネームを使ったオフ会などは多数存在した。だが、実名や顔写真、職場の情報を明かしたユーザー同士の交流は、新たなコミュニケーションの潮流を生み出していると言えそうだ。
とりわけ注目を集めているのが、「ソーシャルランチ」というサービスである。Google日本法人の元社員が開発した同サービスは、「ランチ時間を上手く活用して、有意義な時間に転換できないか?」という問題意識をきっかけにして、生まれたものである。
「社会人の場合、ほとんど毎日同じメンバーとランチを食べることが多いと思います。ですが、毎日同じメンバーと話していると会話の内容もなくなってきますし、最終的には会社の愚痴になりがちです。そこで、Facebook上で人と人を繋げる接点として、ランチの時間を選びました」(シンクランチ株式会社 代表取締役副社長 上村康太氏)
実際に同社のリサーチによると、45%の人が「ぼっち飯」――つまり1人でランチを食べているという結果が出たという。『ソーシャルランチ』のサービス開始から16日間で、会員数1万人、4週間で1000名分のランチを突破したということから考えても、「ランチ時間に何らかの変化を持たせたい」と考えているビジネスパーソンは、多いと言えそうだ。
では実際に、『ソーシャルランチ』の使い方を見てみよう。
実名制を重視した交流を主眼とする同サービスでは、Facebookアカウントが必須となる。Facebookアカウントでログイン後、まずは自分と一緒に『ソーシャルランチ』に参加してくれる友人とペアを組む。同サービスは、社外のペアとの2対2でのランチが基本だ。
友人が見つかったら、いよいよ次に一緒にランチを過ごしてくれるペアを紹介してもらうことになる。予め設定しておいた最寄りのランチエリア(北海道、東京、神奈川、名古屋、大阪、福岡など)と合致するペアを『ソーシャルランチ』側から提案してくれるので、お互いのプロフィールを確認後、ランチ可能な候補日にチェックを入れて、リクエストを送信。相手ペアからの返信を待つ。
相手ペアの了解を得ることができれば、ランチが成立。次に、ランチを申請したペア側からお店を指定する。お店の選び方は、表示される「オススメランチ店の中から選ぶ」「ホットペッパー検索を用いる」「個別URLを指定する」という3つの方法を使って行なう。日時と場所を確定させれば、あとは、ランチ当日を迎えるだけだ。
ランチ終了後は、感想を伝え合ったり、お店の評価などをリポートし合ったりする。Twitter上で感想をつぶやいているユーザーも多く、「新鮮だった」「また参加したい」「ハマリそう」といった声が寄せられている。見知らぬ人とのランチに刺激を受けているユーザーは、多いと言えそうだ。
「新しい昼の文化を創る」(同氏)ことを理念としている同サービス。今後は提供地域の拡大、店舗や企業との提携を推し進めていくという。ソーシャル時代の新たな異業種交流の機会として、定着していく可能性は高いのではないだろうか。
(中島 駆/5時から作家塾(R))