「Foursquare」画面。登録されている場所の“市長”や、コメントを残した人を確認できる。

 2010年5月にユーザー数5億人を突破した、世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス「Facebook」(フェイスブック)。本格的な日本上陸を果たしたこともあり、「英語でないと使えないのでは?」と二の足を踏んでいたユーザーが、続々とサインインしている。

獲得したバッジの一覧。“北極点”など、かなりスペシャルなバッジも用意されているとか。

 Facebookに限らず、SNS上において人と人とをつなげるのは互いの“共通項”だった。住んでいる地域、好きなタレント、読んでいる本……。そうした共通項が顔を見たこともない誰かと自分をつなげ、親近感を抱かせ、新たな友人・ネットワークを構築することが目的(楽しみ)とされていた。

 最近では、ジョギングやマラソンなどのエクササイズに特化した「Jognote」、地域コミュニティに特化した「ロココム」など、特定の興味・関心を介してユーザーが集まる「特化型SNS」が増えている。

 なかでも、GPS機能を活用した“地図+SNS”が人気だ。

 2009年3月のリリース以降、“地図+SNS”の代表格である「Foursquare」は、スマートフォンなどGPS機能が付いた携帯端末で、自分が今いる場所を“チェックイン”することにより、近辺にいる友人または見ず知らずのユーザーとつながる。

「仕事帰りに一杯やりたい」「ひとりランチはさみしい」など、近隣にいる友人を探し出すことで、ネット上でのコミュニケーションをリアルへと変換するのだ。

「Foursquare」の人気は、そのゲーム性を高めたところにもある。10ヵ所の異なる場所でチェックインする、1週間のあいだに同じ場所に3回チェックインするなど、ある条件を満たすチェックインをすると「バッジ」が発行される。マイページには獲得したバッジが一覧で確認できるので、友達同士、バッジの数を自慢しあうのも楽しみ方の1つだろう。

 また、同じ場所を何度も訪れると“市長”として認定されることがある。海外で実際にあるサービスのひとつに、リアル店舗からリアルなサービスを受けられる“市長特典”がある。

 たとえば、有名カフェチェーンの“市長”は、“市長”である証しを店頭で見せることで、コーヒーを無料でもらえるといった具合だ。日本での認知度アップ、ユーザー数の増加に伴い、店舗の新たな集客ツールとしても使えそうだ。日本語版正式リリースを待ちたい。

 実はFacebookにもmixiにも、それぞれ「スポット」「mixiチェックイン」という名前で、現在の場所やお気に入りのお店などを友人たちと共有するサービスが存在する。

 ただ、使用状況を見てみると、正直なところそこまで活用されていないのが現状だ。自分の居場所をオープンにすることへ、抵抗感を持つ人は少なくないだろう。常に見られているような感覚に、違和感を覚える人もいるはず。

 上記のカフェサービスのように、ユーザーにとってわかりやすいメリットを打ち出さなければ、日本における“地図+SNS”の生き残りは難しいかもしれない。

 いずれにしても、その名前を聞く機会は今後増えるはず。日本での動向を見守りたい。

(筒井健二)