富士フイルムホールディングス(HD)による米ゼロックスの買収契約が破談。両社の合弁企業である富士ゼロックスの行方も五里霧中となってきている。

玉井光一(富士ゼロックス社長)Photo by Masato Kato

──米ゼロックスが富士フイルムHDとの経営統合契約を破棄した理由は「2017年の富士ゼロックスのニュージーランド子会社の会計不祥事を踏まえた修正会計報告書が期限内に提出されなかったから」だと主張しています。

 監査済み会計報告書は所定の期限通りに提出済みで、その主張は全くの誤りです。

 ニュージーランド現地法人では、トップの人事異動や構造改革が終わりました。現地トップと毎日のように密なコミュニケーションを取っています。現地の顧客訪問の際に日本から具体的にどのようなサポートが必要か、などの緻密なやりとりをするようになっており、これまでの任せきりで放置の体制とは大きく変わりました。

──大株主、カール・アイカーン氏らが推挙した米ゼロックス取締役会は21年以降、富士フイルムHDとの技術提携契約を更新しないと表明。また(これまでゼロックスがこの契約と引き換えに進出していなかった)アジア地域でビジネスを行うとも表明しています。

 すでにハード、ソフトの技術面の根幹は富士ゼロックス側が握っており、技術的には契約が更新されずとも困りません。影響を受けるとすると、ゼロックスにOEM(相手先ブランドによる生産)で供給している機器の売り上げです。