駅の掲示板に象徴される
無駄な情報の多さ

「悪貨は良貨を駆逐する」
 このグレシャムの法則と同様のことが情報にも当てはまる。

 非常に重要な情報に限ってうまく伝わらず、広まらず、どうでもいいような、時にはスキャンダラスな要素を含んだ情報に限って広く流布する。

 会社でも同じことがよく起こる。
 地味だが大切な情報はなかなか行き渡らず、定着しない。

 一方、噂話の類が広まるスピードの速いことよ。
 まず一度に伝える情報は、大切なものだけにして、数も7つどころかうんと絞りこむ必要がある。

 社内情報の伝達手段は、会話、会議、手紙、印刷物、メールにSNS、イントラネットとさまざまだが、私たち鉄道業界では「掲示板」というものが社内連絡手段としていまでも多く活用されている。

 そして、このきわめて古典的でアナログな情報ツールは、情報というものの本質を見せつけてくれる。

 当社の職場には、必ず何か所かに、掲示板が設置されている。
 駅や運転区など、運転関係の現場に行くと、本社から送られてきた運転や安全関係の掲示物が掲示板にびっしりとすき間なく貼られている。
 現場の社員たちは、そんなに多くの情報をきっちりと受けとめ、中身を理解しているのだろうか。