重工2社がターボに注力する理由は参入障壁の高さにある。エンジンを開発する自動車メーカーに常駐し、約3年をかけて共同開発するため、長年培った信頼関係と、旧モデルの構造を知っていることがものをいう。

 技術的にも利がある。ターボには、航空エンジンのタービンや火力発電のボイラーの製造で培った高い技術が生かされているからだ。

 世界の自動車向けターボ市場は、米ハネウェル・インターナショナルと米ボルグワーナー、その後を追う日系重工2社の世界4強の寡占市場。新規参入するのは難しい。

 共にシェア約2割の日本勢はツートップ入りを狙うが、壁は高い。自動車メーカーの再編・提携が進み、共通化されたエンジンユニットの量産規模が大きくなったことで、「受注を失ったときの衝撃が以前よりも大きくなった」(三菱重工エンジン&ターボチャージャの大迫雄志ターボ事業部長)からだ。規模の優位性がある米国勢が力を増している。

 加えて、ターボは量産型部品なので、「とにかくコストが課題」(IHI車両過給機SBU長の川崎義則執行役員)。そのため、工場の自動化ラインの整備や基幹部品の集中生産、部材の調達価格の低減を一気に進めているところだ。

 IHIは今後、中国や北米市場の強化を掲げて、自動車用ターボ事業に年間数十億円の投資を行う。三菱重工は来年にもハイブリッド車向けのデモ機を造り、搭載車種を広げる戦略だ。米国勢にコストで勝つことが事業拡大の鍵になっている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 松野友美)