「働きがい改革」とは何か

 背景には、社内の意識調査などで必ず指摘される「部署間の壁」(隣の部署やチームがどのような仕事をしているのか知らないし、知ろうともしない)や、「挑戦することを躊躇してしまう企業風土」(失敗したくないという意識が強く、最初から“できない理由”を考えたり、評論したりするばかりで自らは行動しようとしない)という積年の閉塞感があった。

 だからこそ、今回のAフェスでは、総じて「チームで一緒に何かをやる」ことにこだわったのだ。

 今回の社内横断プロジェクトで、現場責任者を務めた高橋葵サブ・リーダーは、「1日だけのイベントで終わらせてはいけない。今後も、AGCという“大きな1つのチームで事に当たる風土”が、グループ全体に伝播するような活動を続ける必要がある」と振り返る。

 現在、産業界では“働き方改革”がブームであるが、過去の改革ではさしたる成果を上げられなかったAGCは、因果関係を意識した新概念として“働きがい改革”に主眼を置く。これは、政府の意向に沿って、人事部を中心に制度設計自体を目的化して取り組むのではなく、あくまで一人ひとりが働きがいを実感できることを通して、自分の意思で挑戦する風土に変わることを目指す。その帰結として、働き方を変える――。

 日本の産業界で、AGCは1981年に欧州の老舗有力メーカー(グラバーベル)を買収したことから、グローバル企業の代表選手のようにいわれてきたし、実際に会社としても先進性を強調してきた。

 だが、いつの間にか、典型的な大企業病に罹り、にっちもさっちもいかずに行き詰まっていた。将来的に、これまで以上にグローバル化と向き合わねばならなくなった日本企業にとって、AGCの事例は “他山の石”とすべきであろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)