ガラスは電波との共存
新しい時代を迎えた
このところクルマ用ガラスの改良が急速に進んでいる。外部との情報通信を行うコネクテッドカー時代を迎え、ガラスにアンテナの機能が求められるようになった。過去には存在しなかったテーマであり、ガラスは電波との共存という新しい時代を迎えた。
日本ではいま、路車間通信の新しい手段として5Gの活用がテーマになっている。1979年に開始された日本電信電話公社(現在のNTT)による自動車電話はアナログ方式の第1世代通信システム、通称1Gだった。93年にデジタル方式の2Gが登場、現在は4Gである。2020年に実用化予定の5Gは、通信速度が最大で毎秒20Gb(ギガバイト)になる。短時間に大量のデータを送受信できるため、自動運転に必要な交通環境データと、刻々と変わる渋滞情報をベースにした迂回ルートの計算結果などをクルマが利用できるようになる、といわれている。
4Gで利用している周波数よりも高い電波帯を使い、送受信には高感度アンテナが必要になる。これをガラス埋め込み式のアンテナで対応するための研究開発が進められている。日本には世界的な自動車用ガラス大手の旭硝子、日本板硝子といったサプライヤーがあり、高い技術力と生産対応能力を持つ。世界に先駆けて実用化できれば世界標準(デファクトスタンダード)が握れる。