週刊ダイヤモンド2018年10月6日号第1特集は「新幹線vs飛行機 十番勝負」。特集内では、これまでの新幹線と飛行機の競争に、ゲームチェンジャーとして存在感を増しているLCC(ローコストキャリア)が登場している。その中で、「スプリング・ジャパン」の名称で成田国際空港を拠点に国内3都市、海外4中国路線を飛ぶ春秋航空日本の新社長、樫原利幸氏を直撃。同社は中国のLCC春秋航空の日本法人で、2014年8月に就航したものの、17年にはパイロット10人が乗務停止になるなど安全上のトラブルが相次ぎ、業績が低迷。これを受けて今年、日本航空(JAL)から整備支援を仰いでいる。JALのパイロット出身の樫原利幸社長に、運航と経営の立て直し、今後の路線展開について話を聞いた。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)
パイロットも整備も
力不足の面があった
――JALのパイロット出身でジェットスター・ジャパンやスカイマークで運航のサポートをしてきた樫原さんが、春秋航空日本の社長に就任した経緯を教えてください。
昨年12月に、JALから整備支援を受けることが決まり、そこから幾つかの縁で話がまとまり、3月に就任しました。当社は運航を始めて丸4年が経ちましたが、成長路線に乗せるために、運航の基礎を今一度きちっと固めておく必要がありました。
――はじめてスプリング・ジャパンに来た時、どんな第一印象を持ちましたか。
いい社員がいて、懸命に盛り上げようとはしているんだけど、統一感には欠けていた。
当社はもともと「東アジアにおける日中の友好の懸け橋になる」という素晴らしい理念があります。皆の力を結集して、これを実現しようと話しました。
――17年にはパイロット10人が乗務停止になるなど安全上のトラブルが相次いだ。これにより欠航率も非常に高くなってしまった。どのように立て直していきますか。
パイロットも整備も、力不足の面があったと思う。再構築するために、6月から整備をJALに全て委託しました。これで足元を固められたので、運休していた便を復活させることができた。8月から成田~広島を1日2便に戻し、成田~新千歳を再開することができました。