アストロ・テラー氏は、会議から会議へ歩いて移動するのは時間がかかりすぎると気づき、インラインスケートを履くようになった。米グーグルの親会社、アルファベットの研究部門「X(エックス)」を統括するテラー氏にとって、こうした実践的な問題解決は仕事の中核をなすものだ。2010年以降、Xが追求してきた「ムーンショット」(グローバルな問題に対する革新的な解決策)の成果は一様ではない。眼鏡型ウエアラブル端末「グーグル・グラス」が、イノベーションの失敗例とされる一方で、2016年にXからスピンオフ(分離・独立)した自動運転車開発部門「ウェイモ」は、モルガン・スタンレーの最新の試算で評価額が1億7500万ドル(約197億円)に達した(アルファベットの時価総額の5分の1に相当)。