2019年2月、東京メトロ丸ノ内線に赤い電車が帰ってくる。地下鉄のみならず、JRでも近年は銀色車体の電車が主流だが、かつては赤やオレンジ、ブルーなど、さまざまな色に塗装された電車が走っていたものだ。カラー車体はなぜ、消えていったのだろうか?(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

車体全面カラーの電車が復活!
丸ノ内線に帰ってくる「赤い電車」

丸ノ内線に帰ってきた「赤い電車」かつては主流だったカラー車体が丸ノ内線で復活!消費電力2割減など、中身はハイテクである(画像提供:東京メトロ)

 丸ノ内線に赤い電車が帰ってくる。東京メトロは10月11日に丸ノ内線新型車両2000系を報道公開し、2019年2月中旬から営業運転を開始すると発表した。1988年にデビューした現行の02系車両を2022年までに全て置き換える。

 2000系は従来の02系よりも消費電力を約2割削減。2022年度導入予定の無線式列車制御システム(CBTC)に対応し、カーブ走行時の騒音を低減する操舵台車、脱線検知非常停止装置、停電時でも走行が可能な非常用バッテリーなど、最新技術が惜しみなく投入されている。

 そしてなによりも最大の特徴は、「丸」をモチーフにした前頭部と、初代300形をイメージした真っ赤な車体に、丸ノ内線でおなじみのデザイン「サインウェーブ」を織り込んだ白帯が印象的なエクステリアだ。実はこれは塗装ではなくアルミ車体をシールでフルラッピングしたもの。2017年に導入を完了した銀座線1000系車両のレモンイエローの車体と同じ手法である。

 もっとも、かつての赤い電車が丸ノ内線を引退してから22年。これを見て「懐かしい」と感じるか「目新しい」と感じるかは、世代差があるだろう。

 ここ20~30年で通勤電車のイメージは大きく様変わりした。現在は無塗装の銀色のボディーにカラーフィルムの帯を巻いた電車に置き換わっているが、かつてはJR東日本でも中央線はオレンジバーミリオン、総武線はカナリアイエロー、京浜東北線はスカイブルーで全身を染めた車両が走っていた。今も残っているJR西日本・大阪環状線のオレンジ色の電車も、今年度中に姿を消す予定だ。

 昔の車両が車体全体を塗装していた最大の理由は、腐食を防ぐためである。鉄道車両の車体外板は大正時代までは木製が主流だったが、安全性や耐久性の問題から普通鋼に切り替わっていった。木にせよ鋼鉄にせよ、風雨にさらされるうちに腐食してしまうので、表面を保護するために塗装を施す必要があったのだ。