東日本旅客鉄道(JR東日本)100%子会社の車両メーカー、総合車両製作所(J-TREC)には今、思わず笑みがこぼれる商品がある。次世代ステンレス車両「sustina(サスティナ)」だ。
2012年9月にブランドを立ち上げて以来、JR山手線や東急田園都市線、都営浅草線などの新型車両に採用が拡大。16年度に50両超、17年度に250両超と、車両製造数を急増させているのだ。
9月4日にJR東日本が発表した横須賀・総武快速線用の745両の新造車両にも採用が見込まれており、製造数は18年度以降もしばらく順調に伸びそうである。
実はこのサスティナ、電車界の常識を打ち破る商品だ。
電車には、飛行機や自動車と違って、長らく当たり前ではなかったことがある。製造における共通プラットフォームの構築だ。電車は、各鉄道会社で差別化へのこだわりが強い。そのため、顧客ごとのニーズに細かく対応することこそ車両メーカーの使命とされ、なかなか実現に至っていなかった。
オーダーメードでも、利益さえ出れば車両メーカーとしては問題ない。しかし、電車は1モデルにつき数両の発注もあり得る典型的な多品種少量生産の製品で、もともと量産効果を出しにくい。何より、国内の車両メーカーの合計供給能力が需要の約1.5倍に上り、価格競争が激化していた。