向精神性のない大麻の有効成分であるカンナビジオール(CBD)をこのところ。「気分が落ち着く」というCBD入りのカプチーノを提供するコーヒーショップは全米にある。高級化粧品ブランドは、消炎効果をうたったCBD入りの保湿液を発売している。10月時点で全米46州がCBD関連の法案を成立させた。連邦法はCBDの使用および販売を明確に認めているわけではないが、法律の執行は必ずしもその通りに行われない。6月には米食品医薬品局(FDA)が、ごくまれな2種類のてんかんの発作に対する治療薬としてCBDを主成分とする「エピディオレックス」を承認。大麻由来の医薬品をFDAが承認する初の事例となった。CBDが浸透するにつれ、消費者はマリフアナやヘンプに含まれるすべての活性化合物(カンナビノイド)が、もうろうとした高揚感を引き起こすわけではないことを理解し始めた。研究結果によると、一部のカンナビノイドには実際、集中力を高め、食欲を抑え、覚醒状態に保つ効果があると分かっている。合法化の動きが着実に広がる中、自閉症やがんなどさまざまな病気の治療にこれらの成分が役立つのではないかと考える科学者は胸を高鳴らせている。国立衛生研究所(NIH)の2人の研究員は、2013年に欧州生化学連合(FEBS)の学術誌に発表した論文で、カンナビノイドは「人間がかかるほぼすべての病気に治療効果を示す潜在力があるだろう」との見方を示した。