まずは、神奈川県。スルガ銀に対し、金融庁が6ヵ月間の一部業務停止を含む行政処分を出したのが10月5日のこと。これを受けて神奈川県は、今年7月に定期検査を行ったばかりだったが、10月22日に初となる臨時の立ち入り検査に踏み切った。

 今回の行政処分を受けて、膨大な作業量を伴う収納業務について、スルガ銀が滞りなく行えるかどうかを見極めるためだ。

 もっとも、神奈川県にとってスルガ銀は「指定代理金融機関」であり、公金収納事務の大半を担う「指定金融機関」は横浜銀行である。あくまでスルガ銀は、業務の一部を“代理”している金融機関にすぎない。

 ところが、神奈川県に続いて臨時検査に入ることを決めた海老名市は違う。まさにスルガ銀が公金収納事務のメーンバンクともいえる「指定金融機関」なのだ。つまり、神奈川県とでは、事態の深刻さが大きく異なると言っても過言ではない。

 故に、神奈川県が臨時検査に動いたのに慌てた海老名市は、今年2月に定期検査を行っていたが、急きょ11月19日に臨時の立ち入り検査に入ることを決めたのだ。「数十年にわたりスルガ銀行と付き合ってきたが、臨時検査というのはついぞ聞いたことがない。おそらく初めてのことではないか」(海老名市職員)という。

慌てて預金口座を変更

 加えて、海老名市は公金の取りまとめを行う口座をスルガ銀に開いているが、今年4月に報道でスルガ銀の不正関与が取り沙汰されるや否や、従来の「普通預金口座」から、無利息ではあるが銀行が破綻した際に預金が全額保護される「決済用預金口座」に慌てて移行するはめに陥っている。

 また、海老名市は昨年、指定金融機関の輪番制を導入すべく、周辺の金融機関にヒアリングを行っていたという。「不正をキャッチしていたわけではない」(海老名市)というが、スルガ銀一本足打法への懸念があったのかもしれない。それだけに今回の事態は、海老名市にすればいかにもタイミングが悪かったというほかない。