かつて芸能人の副業といえば、知名度や資金力を生かした飲食店経営や不動産投資が主だった。ところが近年では、自分の個性を生かしたユニークな副業が増えており、その考え方は、我々一般人にも働き方、生き方のヒントをくれるものが多数ある。経営コンサルタントの新井健一氏に話を聞いた。(清談社 島野美穂)
単にテレビに出るだけではダメ!
求められるセルフプロデュース力
お笑いコンビ、カラテカの矢部太郎が描いた漫画『大家さんと僕』が70万部を超える大ヒットとなったことは周知の通り。また、矢部の相方・入江慎也も、幅広い人脈を生かしコンサルティング会社を設立。企業向けの講演を年間100回以上こなし、年商1億円を超えるまでになっている。
芸能人たちも、ただメディアでの露出を増やすだけではもう先がない。カラテカの2人のように、本業とは別のフィールドでの副業を開拓するようなセルフプロデュース力が求められている時代なのだ。
そしてこれは、我々一般人にも同じことがいえるだろう。
実は今年は副業元年だ。政府が主導する「働き方改革」の一環として、国内企業の副業容認、あるいは推奨・奨励されるようになっている。リクルートキャリアの調査によると、その割合は全体の28.8%に及ぶ。数こそまだまだ少ないが、終身雇用制度が崩壊した今、国民に副業をしてもらわないことには経済が回らない。そのため今後、この流れはさらに強まっていくことだろう。
「今までの日本企業によく見られた『エラい人に気に入られなければ出世できない』といったピラミッド構造は崩壊しつつあります。そういった慣習が残っている企業もまだありますが、今後の時代の流れで淘汰されていくでしょう」(新井健一氏・以下同)
こうした働き方の変化は、芸能界にも及んでいる。かつては、キー局で冠番組やレギュラー出演を持つなど、限られた既得権益を奪い合い、数少ない席に座ることができた人=すごいタレントという図式があった。