ニューヨーク証券取引所Photo:Reuters

――筆者のマーク・ハルバート氏はハルバート・フィナンシャル・ダイジェストの創設者で、金融情報サイト「マーケットウォッチ」のシニアコラムニスト

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 どのように投資するかを決める際、多くの投資家は、長期的に市場をアウトパフォームした実績で知られる数々の戦略に従おうとする。彼らは相場が良いときも悪いときもその戦略を守っていれば、いずれは市場のパフォーマンスを上回るはずだと考える。

 だが必ずしもそうはいかないのが現実だ。投資家がその戦略の1つを10年以上固守すれば、市場(すなわちベンチマーク)をアウトパフォームする確率が高まるとはいえ、それが保証されるわけではない。それどころか、10年間の長期投資であっても(短期になればなるほどなおさら)単にタイミングが悪かったという不運な理由で、運用成績がベンチマークに届かない可能性はかなりあるのだ。

原因はボラティリティー

 これを証明するため、シカゴ大学のユージン・ファーマ教授(ノーベル賞経済学賞受賞)とダートマス大学のケン・フレンチ教授は1つの実験を考えた。ある投資戦略の向こう120カ月間のリターンが、それまでの50年間から無作為に選んだ120カ月間のリターンと同じだと仮定したら、どうなるかというものだ。無論これは寛大な仮定ではある。今後分配されるリターンが、過去の実績と同じくらい優れていると推測するのだから。彼らはこのシミュレーションを10万回実施し、その戦略の運用成績がベンチマークに届かない回数を数えた。

 この寛大な仮定に基づいても、調査した投資戦略が10年間にベンチマークを下回る確率はかなりあった。バリュー投資を例に考えてみよう。この戦略は株価純資産倍率(PBR)が最も高い銘柄(いわゆるグロース株)に対し、最も低い銘柄を選好するものだ。最も強力な戦略の1つであるとの評判にもかかわらず、過去10年間の平均的なバリュー株のパフォーマンスは、平均的なグロース株を大幅に下回っている。

 この結果は完全に予想外というわけではない。ファーマ、フレンチ両教授は所定の10年間にバリュー戦略がベンチマークを下回る確率を9%とはじき出した。