ユーザーから相次いだ不満
「もう自前で作るしかない」

 翻訳機の仕組みは各社さまざまで、インターネットにつなげずに機器内で翻訳処理する翻訳機もある。ポケトークは「クラウド翻訳機」と呼ばれるIoT(モノのインターネット)機器の一種で、MNVO事業者ソラコムのデータ通信用のSIMカードでネットに接続する。クラウド上のエンジンで翻訳処理し、高い翻訳精度や応答速度を実現した。

 こうした「使いやすさ」を実現するまでには、苦い経験があった。

 それは昨年の初号機発売にさかのぼる。11日で売り切れるなど好調なスタートを切ったが、間もなく「使いにくい」といったユーザーからの不満が相次いだのだ。

 確かに、初号機の本体操作は複雑極まりなかった。63言語に対応していたが、1.3型の小さなディスプレーにこれらの言語がずらっと並び、その中からちまちまと探して選択するのは骨が折れた。SIMカードは本体と分離した付属品だったため、顧客が自分で挿入して設定しなければならず、面倒な操作を強いた。ついには「使えない」というネット上の厳しい書き込みも出てしまった。

 実はこうしたクレームを、川竹はある程度まで予想していた。発売前から使い勝手を何度も試していたのだから当然ではある。

 ソースネクストはウイルス対策ソフトや年賀状ソフト、画像編集ソフトを開発してきたソフトウエアメーカーだ。当然、ハードを作った経験、ノウハウはない。そのため初号機は、オランダのベンチャー、トラビスが開発した翻訳機を日本向けにカスタマイズすることからハードに参入したのだ。

 つまり、川竹自身が「直したい」と思っても、ハードの設計を自由に改良できないというのが実態だった。

 ユーザーからの不満を改善したくても、自分が思った通りに手を打てないのでは限界がある。

「本気でハード機器をやるなら自前で作るしかない」と腹をくくり、18年3月には自社開発の体制でスタートする決断を下した。