極薄コンドーム実現に立ちはだかった
高いハードル

 ユーザーアンケートによれば「使用感がいい」だけでなく「ぬくもりが伝わってくる」らしい。コンドーム「サガミオリジナル001(ゼロゼロワン)」が爆発的なヒットを記録している理由だ。

菌と同じ程度の薄さを実現した「サガミオリジナル001(ゼロゼロワン)」。在庫が確保できず、一時販売中止となったほどの人気だ

 しかも、このヒットの「準備」が、今をさかのぼること50年前から始まっていたことが興味深い。研究開発を担当した、総合開発部の山中千秋主任研究員が話す。

「弊社は1960年代から、ゴムの素材はいつか天然のものに代わり、合成ゴムが使われるようになるのではないかと考え、市場の変化に備え研究を続けていたのです」

 天然ゴムは、ゴムの木から採取されるもので、成分中には、いわゆる「ゴムのにおい」の元となるタンパク質なども含んでいる。そして、長くコンドームに使われてきた「ラテックス」は天然ゴムだ。一方、合成ゴムは人間が化学的に合成するから、余計な成分は含まず素材は均一。だから60年代から、手袋や接着剤など様々なゴム製品の素材が、次第に合成ゴムへと置き換えられていく大きなトレンドがあった。なかでも「ポリウレタン」は、分子の設計を変えれば、固さや、熱への強さなどを調節できたため、人工心臓、人工血管から自動車部品まで、様々なものの原料になってきた。

 当然、強度も高めることができる。「天然ゴム(ラテックス)のコンドームは、破れる危険などがあるため、薄さ0.03ミリが限界でした。しかし、ポリウレタンは約3倍の強度が出せました。単純に計算すれば0.01ミリまで薄くできますよね(笑)」(山中氏)