カルロス・ゴーン写真:ユニフォトプレス

ゴーン日産会長の突然の逮捕
3社のアライアンス体制に影響

 11月19日、突然、日産自動車のゴーン会長が逮捕された。それに伴い日産自動車は、「当社代表取締役会長らによる重大な不正行為について」のプレスリリースを出し、夜には西川(さいかわ)社長が記者会見を行った。これまでの報道等によると、日産は時間をかけて不正行為の調査を進めてきたことが分かる。

 羽田空港にプライベート・ジェット機で到着したゴーン容疑者に、東京地検特捜部は任意同行を求めその後逮捕したようだ。記者会見で西川社長は、ゴーン容疑者が日産の経営再建に重要な役割を果たしたことを認めつつ、1人の人物にあまりに大きな権限が集中し、不正行為の発生を防げなかったと述べた。

 今回の問題をより複雑にするのは、ルノー・日産・三菱自動車のアライアンス体制に大きな影響が出ることが予想されることだ。自動車産業は、主要先進国で最も重要な産業分野で、自動車メーカーはいわば「稼ぎ頭」と言ってもよい。

 足元で支持率の低迷に直面するフランスのマクロン大統領にとって、ルノー・日産・三菱自動車のアライアンスは自身の経済運営にとって最も重要なファクターの1つと言っても過言ではない。

 今後、その3社のアライアンス体制に変化が生じ、世界の自動車業界に波紋が広がることも考えられる。

日産の経営危機を
救ったゴーン容疑者

 時計の針を巻き戻せば、1999年3月、経営危機に直面していた日産は、ルノーと資本提携(アライアンス)を結んだ。9月には17人のルノー管理職が日産に送り込まれた。10月に入ると、日産の経営トップに就任したゴーンCOO(最高執行責任者、当時)が“日産リバイバルプラン”を発表した。