習近平国家主席とトランプ大統領Photo:Reuters

 9月21日、中国の習近平国家主席は共産党指導部20人余りを集めて緊急会議を開催した。その前日、米国が中国政府の意表を突いて同国軍事研究部門に制裁を科していた。中国からの輸入品2000億ドル相当への関税を発表した直後のことだ。中国はどう反応すべきか分からなかった。

 複数の関係者によると、招集があまりに突然だったため党の最高意思決定機関である政治局常務委員会のメンバー7人のうち3人は北京におらず、会議に出席できなかった。

 北京中心部の中南海に集まった共産党のメンバーらは、強硬な対抗策が不可欠だとの結論に至った。中国は間近に迫っていたワシントンでの通商協議をキャンセルし、米軍事当局者との会合を中断。駐北京米国大使を呼びつけて抗議した。

 中国のある高官は「全体の雰囲気が悪意に満ちている時に話しても無駄だった」と振り返る。それに対しドナルド・トランプ米大統領は26日のインタビューで、「わが国を適切に扱ってもらいたいだけだ」と応じた。

 米中は新たな冷戦の瀬戸際にある。最大の争点は貿易摩擦であり、太平洋をはさんで双方が懲罰的な関税という障壁を築き上げている。

 両国の緊張は数年に及ぶが、ここまでの事態悪化を招いたのは、米中双方が今年繰り広げた政治的駆け引きと度重なる誤算が原因だった。