もう1つはドライブレコーダーの普及だ。

 一般社団法人ドライブレコーダー協議会によると、2017年度下半期の出荷実績は約181万7000台で、上半期の約84万8000台から倍以上に伸びた。

 実は筆者も、あおり運転を受けたことがある。

 新人記者だった三十数年前、九州に赴任した時だ。そのことを担当する警察署の交通課長(警部)に告げたところ、「東京のナンバーを付けてるからじゃねぇかな。早めに陸運局に行くこと(ナンバーを交換すること)をお勧めするよ」とアドバイスされた。確かに、ナンバーを変えてから被害はなくなった。

 そして、あおり運転が原因と思われる事故も何度かあった。

 峠で高齢女性がスピードを出し過ぎてハンドル操作を誤ったとされる死亡事故。当時、死亡事故は大きなニュースがなければ県内版トップになることがあった。現場に写真を撮りに行き(こんな場所でおばあちゃんがスピードを出すかな)と疑問を感じた。前述の交通課長に疑問をぶつけると「俺も自爆じゃないと思う。でも、証拠がないとどうしょうもねぇんだ」。ドライブレコーダーがあったら、“自損事故”で終わっていただろうかと今でも思う。

 この交通課長は「車ってなぁ、拳銃や刃物より殺傷能力が高いんだ。そんな凶器に乗って乱暴な運転はしてほしくないんだけどなぁ」とも話していた。

 萩山さん夫婦の長女(17)は10日の公判に意見書を提出した。「この事件がきっかけで、ドライブレコーダーを付ける車が増えてきて、あおり運転が減ったと聞いています。両親の死が無駄でなかったことがせめてせめてもの救いです」

「家族みんなで死ねばよかったと何度も思った」とのくだりでは、検察官が目を潤ませ、言葉に詰まる場面もあった。

「私はキリスト教の学校に行っていて、人を許しなさいと教えられていますが、これについては許せないし、許していいか分かりません」などとし、厳罰を望んだ。

 石橋被告だけではない。あおり運転で身に覚えのある方は、長女の慟哭(どうこく)に懺悔(ざんげ)し、2度としないと誓ってほしいと思う。