アメリカファーストで
米国との距離が遠くなった国々(1):韓国

 逆に、アメリカファーストによって、米国との距離が広がり、米国から関心を持たれなくなった国々もある。まず、韓国である。トランプ大統領は、米朝首脳会談後に在韓米軍について、「コスト削減になる」と将来的な撤退を示唆した。前述のように、北朝鮮が米国を直接攻撃できる能力を持つことがないならば、北朝鮮と直接対峙する同盟国・韓国の防衛には関心がないということだ。

「在韓米軍」の撤退は、韓国が中国の影響下に入ることを意味し、北朝鮮主導の南北統一の始まりの可能性がある。北朝鮮よりも圧倒的に優位な経済力を持ち、自由民主主義が確立した先進国である韓国が、最貧国で独裁国家の北朝鮮の支配下に入ることはありえないと人は言うかもしれない。

 しかし、明らかに「左翼」で「北朝鮮寄り」の文大統領にとっては、それは何の抵抗もないどころか、大歓迎かもしれない。そして、米国は在韓米軍の撤退と共に、それを容認する可能性がある(第186回・P.3)。

アメリカファーストで
米国との距離が遠くなった国々(2):中東諸国

 次に中東諸国である。トランプ大統領は、エルサレムをイスラエルの首都として正式に承認すると宣言した(第173回)。これに対して、イスラム圏から欧州まで、国際社会から「中東和平を遠のかせる暴挙」であると一斉に批判が起こったが、大統領はどこ吹く風であった。

 また、トランプ大統領は「イラン核合意」から一方的に離脱を宣言し、8月7日、自動車や貴金属の取引停止という対イラン経済制裁を再発動した。欧州やロシア、中国は、現行の「核合意」の枠組みを維持しようとしているが、トランプ大統領の強硬姿勢で困難な情勢だ。

 イランは、オバマ米政権によって進められた2015年の「核合意」後に、2ケタの経済成長を実現していた。だが、トランプ政権による制裁の再発動で通貨安に拍車がかかり、経済が急激に悪化している。イラン国内では、「強硬派」が勢力を増している。また、イランと、イスラエル、サウジアラビアなどの対立が激化している。

「シェール革命」で中東の石油が必要なくなりつつある米国は、アラブに気を遣う必要がなくなった。トランプ大統領の「宣言」で「中東和平が遠のいた」と世界中から批判されているが、そもそも米国は中東和平に関心がなくなったということだ。