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日立に電力事業を売却する
ABBのトップが語る企業改革への挑戦

末岡洋子
2018年12月27日
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なぜ多様性を重視するのか

 そのYuMiが象徴する組織としてのABBの特徴は、多様性だと言える。YuMiはハードウェアはスウェーデン、AIは中国上海、制御ユニットはドイツとそれぞれで開発されたものを組み合わせた。キャリアの中で米国、アジアなど世界の様々な国に赴任して生活したというSpiesshofer氏は多様性について、「ミーティングで中国人、アメリカ人、ドイツ人がいると、中国人は“とにかく速く製品化を”というし、アメリカ人は”キーメッセージを3つ出してマーケティングを展開しよう”というし、ドイツ人は“27ページの論文で深いレベルで根本原因を分析しなければ”という」と苦笑まじりに述べる。「これを日常レベルで管理するのは簡単ではないが、それぞれが文化を持ち寄ることで企業が形作られていき、素晴らしいことが起こる」と多様性の良さを語る。

 欧州の中央であり中立国でもあるスイスに本拠地を置く同社、トップ経営層の10人中8人がスイス以外の国籍を持つ。上位100人の幹部を見ると、約70人がスイスとスウェーデン以外という。それでも、「創業文化は脈々と受け継がれている」とSpiesshofer氏。ABBのスイス本社は約500人が勤務するが国籍は67に及ぶそうだ。「取締役会も、100年前から多国籍でやってきた。多様性のある労働環境が生む価値とインパクトを熟知している。グローバルで展開したいのなら、多様性のある組織作りを進めることを推奨する」とSpiesshofer氏は会場に向かって助言した。

 一方で、リーダーシップについては、スイスもスウェーデンもどちらかというと、目立ちたくない、リーダーになりたくない、争いは避けたいというタイプが多いと分析し、「現在はきちんと意見を主張し、人々をリードしたり奨励することも必要な時代、正しいリーダーシップを育成することは簡単ではない」という。

 リーダーシップでは課題を認めつつも、コラボレーションという点では、国連機関が多数置かれているスイスを象徴してか、「自国の文化を持ち寄りコラボレーションする社風が生きている」という。このような考え方から、ABBではリーダーを選ぶ際に「多様性の中でコラボレーションできる人」が一つの重要な指標になっているという。

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末岡洋子

すえおか・ようこ/フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

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