アプリがホテルライフを快適にする
個人に合わせたサービスや製品を提供するパーソナライズの取り組みは、ホテルでも始まりつつあるようだ。2016年に136億ドルでStarwood Hotel & Resortsを買収し最大手となったMarriott International(マリオット・インターナショナル)は、デジタルの力を借りて1億1000万人という会員に個別対応するという。
Marriottは30のホテルブランドを擁し、130ヵ国で6700のホテルを持つ巨大なホテルチェーンだ。「Sheraton」などを有する競合Starwoodを買収したことで、ロイヤリティプログラム「Marriott Rewards」のメンバーは1億1000万人に達している。買収作業が完了した現在、このロイヤリティプログラムをテコにデジタルを利用したパーソナライズサービスに向けた取り組みを進めている。
Marriottに宿泊すると、部屋に備え付けられたタブレットでホテルの案内、天気、周辺の観光情報などがわかる。追加のシャンプーなどアメニティを頼むこともできる。Marriottのロイヤリティプログラムの会員なら、自分のスマートフォンの専用アプリで同じことができるだけでなく、チャットでなんでも聞くことができる。
例えば、「スパを利用したいけど、営業時間は?」「ドキュメントをプリントアウトしたいけどどうすればいい?」など、ホテルに関する質問ができる。コンシェルジェやフロントの前に並んだり、備え付けの電話をかけて待たされることを考えると、はるかに効率がいい。慣れない海外であれば、外国語を話すよりも書くほうが難易度は低いだろう。アプリにはデジタルキー機能もあるため、(事前の設定と予約の種類によっては)フロントでチェックインすることなく自分の部屋に直行できる。
このアプリは、MarriottのMarriott Reward、Starwoodの「Starwood Preferred Guest(SPG)」、そしてStarwoodが別に展開していたRitz-Carltonの「Ritz-Carlton Rewards」の3つのロイヤリティプログラムを統合して、8月にリニューアルしたものだ。
ログインすると、過去の履歴、次の予約、現在のステータスなどの情報に加えて、プロフィールには客室の希望(バリアフリー、ベッドの種類、禁煙・喫煙、高層階か低層階か、枕の種類など)なども細かく設定できる。MarriottはSalesforce.comの「Service Cloud」などのクラウドを導入し、様々なチャネルで顧客とやりとりできるプラットフォームを構築した。