一流アスリート並みの待遇を用意する
ナイキのプランニング

 一方のナイキは、アディダス(青学大)が台頭するまでは、学生駅伝界の王者として君臨してきた。第84~90回大会はアシックス(日体大)が第89回大会を制した以外、ナイキを着る駒大(1回)、東洋大(4回)、早大(1回)が栄冠に輝いている。第87回大会(2011年)ではナイキ勢がトップ3を独占。ナイキは優勝校を原宿のナイキショップで行うイベントに招待するなど、学生駅伝を活用したPR戦略に力を入れてきた。しかし、近年はアディダスに“センター”の座を奪われており、「打倒・青学大」の気持ちは強い。

 現在は東洋大、駒大、神奈川大、中大をサポートしているが、中でも東洋大とは濃密な関係を築いている。ユニフォーム契約をしていても、シューズについては、各選手に委ねているチームが大半だが、東洋大だけはナイキ一色に染めているほど。世界のマラソン界を席巻している厚底シューズ(ズーム ヴェイパーフライ 4%)も日本のチームの中でいち早く取り入れた。

 前回の箱根駅伝は全員がナイキのシューズで走り、山区間(5区と6区)以外は、ズーム ヴェイパーフライ 4%を履いていた。今夏には主力メンバーが米国合宿を敢行。ナイキ・ワールド・キャンパス(ナイキ本社)を訪問すると、酒井俊幸監督と今年6月の日本選手権1万mで学生トップの4位に入った西山和弥は、ナイキ社員でも“シークレットな領域”になるスポーツリサーチラボにも特別に入室している。現地では、オレゴン・プロジェクトに所属する大迫傑やピート・ジュリアンコーチとも交流した。

 東洋大がオレゴン遠征中に、ナイキは最先端モデルのズーム ヴェイパーフライ 4% フライニットを発表。9月16日のベルリンマラソンでエリウド・キプチョゲ(ケニア)が2時間1分39秒で突っ走ったときに履いていた“世界新シューズ”だ。東洋大は9月上旬の一般発売を前に、新モデルを現地レースで試している。

 ナイキは他にも東海大の主力選手とシューズ契約を結ぶなど、学生長距離界でも攻め続けている。今季は青学大が出雲駅伝と全日本駅伝を制しているが、出雲では東洋大が終盤に追い込み、全日本では東海大が7区途中まで青学大に先行した。世界のスポーツシーンで繰り広げられている「アディダスvsナイキ」の戦いは、箱根駅伝でも”頂上決戦”を迎えることになる。

(本記事はVICTORYの提供記事です)