たとえ米国が動かなくとも、世界は動く。この表現は、貿易においては確かに真実だ。環太平洋経済連携協定(TPP)は、ドナルド・トランプ米大統領が離脱を表明した2年後、TPP11という新たな装いの下で年明けとともに11カ国で始動した。これによる最大の敗者は、米国の生産者だ。正式名称「包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)」、いわゆるTPP11は先週、カナダ、日本、メキシコ、ニュージーランド、オーストラリア、シンガポールの間で発効した。同協定は、全輸入品目の95%について加盟国間の関税を撤廃するもので、加盟諸国の国内総生産(GDP)の合計は世界全体の13%に相当する。TPP11はベトナムでは1月14日に発効し、ブルネイ、チリ、マレーシア、ペルーでも批准手続きが進められている。