正能茉優(しょうのう・まゆ)/ハピキラFACTORY代表取締役、慶應義塾大学大学院特任助教。1991年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学在学中の2012年にハピキラFACTORYを創業。大学卒業後、広告代理店に就職。2016年大手メーカーに転職。経済産業省「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会(2016年度)」委員も務めた Photo by Yohei Kurihara

正能 周りを見てみると、「若者がみんな数字にコミットする必然性を感じていない」というわけではないと思いますよ。私と同世代でも、営業の仕事をしていて、数字を追って成績を上げている人ももちろんいます。ただ、私はそういう仲間のことをすごいなとは思うけど、そういう働き方に憧れるかというとそうでもない。

大室 それぞれが自分の向き不向きを認識して、自分に適した環境を選び取っている、ということか。

正能 いや、私たちの年代だと、向き不向きでもなく、まだ、心地いいか悪いかという選び取り方かもしれません。私は今年で社会人5年目なのですが、自分の向き不向きを明確に捉えられている人って、実はそう多くはないように思います。

 それに加えて、「社会との貸し借り」の感覚も、仕事と向き合う1つの基準として大切に思うようになってきました。先日、知り合いに「正能さんって、仕事をあまり選ばないよね」と指摘されたことがあって。でも、自分としては学生時代から、社会に対して「お世話になってきた」とか「借りがある」という自覚があるから、少しずつできることが増えてきた今、「返さなくては」と思うんです。

 でも、最近少し戸惑うのは、社会にまだ出ていない学生たちから、「副業したいです」「自分のやりたいことだけしたいんです。どうしたらいいですか?」と相談されること。その度に「いやいや、それは無理だろう」と思うんです。借りたいんだったら「貸してください、ペコリ」って感じじゃないと、きっと難しい。でも、そんなことを思っている自分を客観的に見ると、上の世代の感覚になっているような気もして、「あぁ、こうして世代間の断絶は起こっていくのか…」と妙に納得しています。

大室 確かに、「貸し借り」の感覚は持っておくべきだよね。今は仕事の多くがプロジェクト化して、個人としても動きやすくなってきたから、副業に目が向くのは当然だろうけど、言ってることが権利や主張ばかりになってしまうと、なかなか関係を築くのが難しくなってしまう。別に1円単位まで“割り勘”にする必要はないけど、最低限度の貸し借りの感覚があれば、やることやるべきことがなんとなく分かってくると思うんです。

若者に「こらえ性」が
ないのはなぜ?

大室 もう1つ考えておきたいのが、「若者にこらえ性がない」問題。でも、一定の合理性はあると思う。こらえ性がないってどういうことだろうと考えると、つまり「損切りが早い」ってこと。「この仕事、向いてないな」と分かったら、早く離れた方がいいのは確か。