Maruプロジェクトは、まだ走り始めたばかりだ。しかし、異なる地理的特性や文化背景、価値、資源を持つ二つの地域が直接結びつくと、驚くほど豊かで実り多い学びがあることは確かである。

再生への道 〜次に立ち上がるべきは、日本の地方と若い世代だ〜

 地元の若者が、志を同じくする国内や世界各地で活躍する人々と連携して新たなチャレンジに向かっていくアプローチがあることは、私たちを勇気づけ、明るい未来への期待をかき立てる。

「ムラを学ぶのではなく、ムラで学ぶのだ」。――文化人類学者、クリフォード・ギアツの言葉だ。人は、いかに辺鄙な国の文化に身をおいたとしても、自分たちの文化から完全に切り離して物事を見ることはできない。むしろ、自分たちの持っている問題意識が顕在化したり、時には新たな解決の糸口が垣間見えたりする。

 本連載は、そうした大きな変化への小さな一歩を誘う道しるべだ。大陸を挟んだ向こうにある小さな島国が、金融崩壊という状況から起こした再生の物語を通じて、地域の復興に心血を注ぐ人々が勇気づけられ、希望に満ちた絆を育んでいくことを少しでも後押しすることができたなら、私の望外の喜びである。

アイスランドで話を聞いた人々の表情は、未来への希望にあふれていた