近藤麻理恵著
(サンマーク出版/2011年)
150万部を超えたベストセラー。片づけを扱った本でありながら、整理整頓の技術はあまり披露されない。片づけの第一歩は、捨てることであり、捨てるか捨てないかは、その物に心がときめくかどうかで決めるべきと言い切る。
著者は「まだ使うかもしれないから」「高いお金を出したから」などの理由で残した物に囲まれる生活が幸せと言えるのか、と読者に問い掛ける。物理的な空間づくりのための片づけを、ときめく物に囲まれる時間の問題に置き換えた点が面白い。
そう言えば、付き合いや惰性で続ける習慣など、人生にはいかにときめかない作業の多いことか。大ヒットした本だから、と侮るなかれ。本書は、人生を、仕事を、ときめいて過ごすための“時間術”の本でもある。
(元衆議院法制局参事 吉田利宏)