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ポスト2020にテクノロジーの
「不連続な変化」が起きる?
企業が注意すべき3分野の仮説

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第88回】 2019年1月18日
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基幹系クラウドファーストの浸透:
国内ERP市場は、今後数年以内にクラウドがオンプレミス(自社保有・自社運用)を逆転すると予測しており、レガシー化したオンプレミスの基幹系システムは、パッケージであれ独自開発であれ衰退に向かうことに疑いはない。ERPを含む基幹系業務システムの分野においても、クラウド環境での展開を最優先に検討するクラウドファーストの考え方が一般化することが予想される。基幹系クラウドファーストにより、サイロ化したシステムの垣根を越えた一貫性の高い業務プロセスを支えるシステムの実現を企業は目指すべきであり、競争優位に向けた自社固有のプロセスはPaaSで補完・拡張していくべきである。

マルチクラウドとサーバレスの拡大:
クラウド事業者が提供する機能は日々増殖し、ネットワーク/サーバ/コンテナ/データベース/ミドルウェア/開発環境/アプリケーションなど多種多様なレイヤーに及ぶ。ITインフラや開発環境の運用保守が不要で、コードを書くだけで極めて迅速にアプリケーションを稼働することができるサーバレスの成熟度も大きく向上する。したがって、2020年以降は、自社内に構築するプライベート・クラウド、さまざまなレイヤーで提供されるパブリック・クラウドが混在するマルチクラウド環境が前提となることが予想される。そのため、これらのクラウドの統合管理サービスを備える必要性が増す。

SoRへのアジャイル/DevOps適用拡大:
デジタルビジネスなどで活用されるSoE(Systems of Engagement:つながりのためのシステム)に対するアジャイル開発/DevOps/マイクロサービスの適用は一般的となる。基幹業務系などのSoR(Systems of Record:記録のためのシステム)においてもビジネスおよび環境変化への迅速かつ柔軟な適応が必要となり、システム・ライフサイクルの長期化が求められるようになるため、マイクロサービスの必要性が増す。マイクロサービスの実現方法として、アジャイル開発/DevOpsの重要性が増す。

応用技術に関する仮説

 IoTや人工知能(AI)といった先進技術の本格的活用は著しい進展を見せており、あらゆる分野でこれらの技術の組み込みやコモディティ化が進むと考えられる。2020年以降に予想される応用技術に関する仮説を列挙する(図2)

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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