質問に答える佐藤優氏質問に答える佐藤優氏

 2018年11月、朝日新書より佐藤優さんが『官僚の掟 競争なき「特権階級」の実態』を、津田大介さんが『情報戦争を生き抜く 武器としてのメディアリテラシー』を上梓。それを記念した対談イベント「情報戦争の黒幕~その視線の先に迫る」が開催された(2018年12月9日)。同イベントでは、“情報”を専門的に分析する両者が、外交の力関係からマスコミと官僚の癒着、沖縄に関する問題まで、幅広い話題を闊達に論議。その一部を紹介する。

 *  *  *

北方領土問題について

 佐藤:外交というのは、ニュートンの古典力学が作用する世界です。結局、力の均衡によって国際関係は動いている。

 津田:日本とロシアとの間でも、そういう力関係があったんですか。

 佐藤:2001年、森喜朗首相は、北方領土に関して「2+2」方式の解決を想定していました。歯舞群島・色丹島を、まず日本に返させる。その後、国後・択捉の住民たちは、色丹島の環境が良くなっていることに気づき、日本を選択するだろう。こういうシナリオだったわけです。

 津田:なるほど。