たとえば脳梗塞を起こしたばかりのときは、胃ろうを造ったほうが栄養が入るので、リハビリも頑張れます。そうすることで、また口から食べられるようになることもあるのです。

 このあたりも多くの人に誤解があるようで、「一度、胃ろうになると、ずっとそのまま」と思っている人も多いのですが、そうではありません。
 胃ろうがあっても、口から食べることができますし、口だけで十分に栄養をとれるようになったら胃ろうはふさぐこともできます。

 にもかかわらず、「胃ろうはけっこうです」と言う人が多いのが現実です。
 でも、点滴だとなかなか体力が回復しないので、リハビリを頑張れません。
 繰り返しになりますが、私個人としては、延命治療をおこなうなら、胃ろうで長生きさせるか、末梢点滴や皮下点滴で静かに衰えるにまかせるか、このどちらかだと思っています。

 たしかに過剰な延命になってしまう部分もあるかもしれませんが、一緒くたに胃ろう=悪というのは違うのではないかと思っています。