「革命」を推進している気分の
文在寅大統領は本当に大丈夫か

 それでは、米軍に撤退されるかもしれない韓国はどう考えているのだろうか。この連載では、明らかに「左翼」で「北朝鮮寄り」の文大統領にとっては、それは何の抵抗もないどころか、大歓迎かもしれないと指摘してきた(第191回・P.6)。外部から見れば、本当に大丈夫かと思う。だが、文在寅政権とそれを支持する左派勢力は、「革命」を推進している気分になっているようだ。

 2016年11月の「ろうそく革命」によって、2017年3月に朴槿恵大統領(当時)が弾劾・罷免された。その勢いで左派勢力のリーダー・文在寅氏が大統領選に勝利した。文在寅大統領は、「積幣清算」をスローガンに、米国や日本を専門とする外交官を左遷した。保守派と親和性のある裁判官らも起訴した。一方で、政権中枢には、かつて文在寅大統領と共に学生運動のリーダーを務めていた左派の仲間を次々と任命して、保守派を排除した。

 韓国の左派と保守派の対立が、単なる与野党対立ではないことは、よく知られている。両者が交互に大統領選に勝ち、政権交代してきた韓国では、歴代大統領は退任後に暗殺、死刑、懲役刑、自殺などで、「天寿を全うできた人」は金大中元大統領くらいだ。その金大中元大統領も、子息が全員斡旋収賄で逮捕されている。

 韓国の権力闘争の凄まじさを示しているわけだが、それは左派が全羅道、保守派が慶尚道を強固な支持基盤とする、「後三国時代」の百済と新羅の対立まで遡る「民族対立」だからだ。そして、左派は、親米・親日の保守派に徹底的に対抗するために、「反米・反日」「北朝鮮支援」の政策を取ってきた。

 かつて「光州事件」で、保守派の独裁政権が押さえる軍が、「全羅道は北朝鮮の思想に毒されている」という恐怖から、無差別な民衆の虐殺に走ってしまったことから、その対立の根深さがわかる。なにより、文在寅大統領自身が、自らが側近として仕えた廬武鉉元大統領が、保守派の汚職追及によって自殺に追い込まれたという過去を持つ。

 このような背景から、文在寅大統領が、保守派の徹底排除によって「米国・日本からの真の民族独立、そして南北統一」という「革命」を推進しようとしていることは、容易に理解できることである。