養豚Photo:PIXTA

 中国で養豚数が大きく落ち込んでおり、米国の大豆農家にとり頭痛の種となっている。

 大豆はすりつぶされて、大豆油と大豆ミール(大豆粕)が生成される。この高タンパク質の大豆ミールは、豚や牛、魚まで、家畜飼料として広く使われており、4億頭を超える中国の豚はその最大の消費者だ。

 中国では昨夏、北部の豚を家畜伝染病の「アフリカ豚コレラ」に見舞われた。その後、感染が拡大し、大量の豚が殺処分された。

 養豚数の減少は、大豆需要の低下につながる。アフリカ豚コレラは豚にとっては極めて危険で、人間には害を及ぼさないとされるものの、一部では買い控えが起こり、豚肉販売を下押しした。

 豚肉需要の後退は、米農家にとって厳しい時期に重なった。中国の米国産大豆の輸入は、昨夏の終わりに導入された報復関税により、すでに減少している。米中は昨年12月、通商紛争の「一時停戦」で合意し、中国は大豆の購入を再開したが、関税は残ったままだ。

 大連商品取引所で、3カ月物大豆ミール先物価格は昨年10月半ば以来、27%値下がりし、2016年4月以来の安値に迫っている。

 相場の状況は、アフリカ豚コレラの感染が、政府統計以上に広がっていると市場がみていることを示唆している。INTL FCストーンのアジア商品部門リスク管理コンサルタント、ダリン・フリードリッヒ氏はこう指摘する。

 感染拡大を食い止めるため、これまで90万頭以上の豚が殺処分された。中国農業農村省は今月、国内の養豚数は12月時点で、前年比5%近く減少したと明らかにしている。同省幹部は、世界の事例では、アフリカ豚コレラの全滅には少なくとも5〜6年を要するとし、「長い取り組み」になるとの見方を示した。

 中国税関総署のデータによると、中国の12月の大豆輸入量は前年比4割減の570万トンとなり、2011年以来の水準に落ち込んだ。大半がブラジル産で、米国産は前年の620万トンから6万9000トンに激減し、全体の1.2%にとどまった。

 中国はこれまで、9月までの1年に大豆輸入が11%減少するとの見方を示している。アフリカ豚コレラの感染が今後も拡大し、豚の殺処分も続けば、大豆需要も落ち込むとみられ、米農家にはさらなる圧力がかかりそうだ。

(The Wall Street Journal/Lucy Craymer)