ムハンマド皇太子写真:ユニフォトプレス

 サウジアラビアで大きな力を持つエネルギー相が2016年末近くにムハンマド・ビン・サルマン副皇太子(当時)と面会した際、国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)を取りやめるよう説得するつもりだった。

 それは無駄な努力だった。この会談をよく知る関係者によると、ハリド・ファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、できるだけ早くアラムコを上場させよと命じられた。

 だがファリハ氏はその後もアラムコのIPOに反対し続けた。その動きは同国の巨大なエネルギー官僚組織内でも優勢となった。官僚らはIPOに向けた手続きを遅らせる一方で、IPOはガソリン価格上昇という形で消費者に多くの負担を強いると主張。さらに、IPOによって同社を法的なリスクや株主の厳しい目にさらすことになると訴えた。

 ムハンマド皇太子(訳注:2017年6月に副皇太子から昇格)は昨年10月、態度を軟化。IPO実施を2021年まで先送りした。サウジの官僚らはそれでも断固阻止の姿勢を変えていない。同国のエネルギー当局者や企業幹部、顧問などはウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューでそう語った。

 サウジの実質的な統治者であるムハンマド皇太子は経済改革を進め、石油収入への依存を減らす計画を推進している。アラムコのIPOで最大1000億ドル(約11兆円)の資金を調達し、それを新たな産業や雇用創出に充てるはずだった。