徴用工裁判の判決の際に文大統領が述べた「司法府の判断を尊重する」との姿勢は、一体どこにいってしまったのか。自分たちに都合のいい判断は尊重するが、都合の悪い判断は変えさせるというのはいかがなものだろう。

 大統領側近に対する有罪判決は、金被告ばかりではない。前忠清南道知事の安熙正(アン・ヒジョン)被告も元秘書に対する性的暴行の罪に問われ、一審は無罪だったものの、控訴審判決では一審判決を破棄して懲役3年6ヵ月の実刑判決を言い渡された。女性に対する性的暴行は何も韓国に限ったことではないが、文大統領と近く、次期大統領の有力候補でもあった前知事が有罪判決を受けるというのは、それだけ政権のたがが緩んでいるということであろう。

朴槿恵政権と
どこが違うのか

 ここにきて文政権の政治スタイルは、弾劾によって倒れ、国民から嫌われていた朴政権によく似てきている。

 朝鮮日報は、「文在寅大統領の(一人)ぼっち飯」というコラムを載せているが、その中で保守系野党である自由韓国党のシンクタンク「汝矣島研究所」が、文大統領就任から600日間に公表された全スケジュールを分析したことを紹介している。

 それによると大統領主催の食事会は1800回の食事のうち100回だった。また、2144の全スケジュールのうち、議員などとの面会は4%に当たる86回しかなく、うち野党議員は26回しかなかった。

 これでは、朴前大統領が公邸に引きこもり、1人で食事をしながら書類を読んでいたため国民との意思疎通に欠けているとして、国民の間で不人気だったのと同じではないか。

 また、文大統領は学生運動を共にしていた者を政権の要所に配し、自分たちのやりたいようにやっており、国益が何なのか分かっていないとさえ思える。与党は、こうした批判に対し反発しているが、それだけ痛いところを突かれていたということだろう。