1999年から2019年にタイムトリップしてきたとしたら、見える風景は意外に似ているかもしれない。経済は全般的に復活を遂げ、ポケモンが流行し、日本の金利はゼロ近辺に張り付いている。同じ経済政策や流行が続いていることだけがすべてではない。日本が過去20年にわたり途切れることなく景気刺激策を実施しているという単純な見方は、何度かにわたる金融政策の変更を覆い隠している。日本の財政政策の見張り役は過度に引き締めに傾きやすく、こうした動きが全く後退する気配がないことは、投資家にとってさらに気掛かりだ。日銀による「ストップとスタート」のアプローチを最も顕著に示すのが、2000・2006・2007年と、1999年以降、3度にわたり利上げに踏み切っているという事実だろう。日銀は金融危機後も、金融政策の「バズーカ砲」を出すのが他の主要中銀より遅かった。日銀のバランスシートは2005〜2012年にわたりほぼ横ばいだった。その後は大胆な資産買い入れに踏み切ったとの見方さえ、微妙な解釈が必要だ。日銀の国債買い入れペースは年間30兆円未満まで減速している。なお巨額だが、めどとして掲げてきた「年間80兆円」の水準は大きく下回る。
日本のゼロ金利政策、20年間の虚像と功罪
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