だから、だいたいは「お任せします」と返答する。そうすると、「わかりました」と言ってクルマを進めてくれる。こんなやりとりをすることが、あまりに多いので閉口することがある。

 とはいえ、運転手さんの言い分にも一理ある気がする。というのも、いつものように「お任せします」と答えたある日、男性の運転手さんが「すみませんねえ。あらかじめ断っておかないと、道が違うじゃないかとか、混んでいるじゃないかとかクレームになることがあるんですよ」と教えてくれたのだ。

専門家には「知識」「センス」を求めたい

 確かに、道順や道路の混雑具合によって到着時間や料金が変わる場合がある。「自分は、こっちの道がいいと思っていたのに、なぜ運転手さんは別の道を選んだのか」と不満に思う人もいるのだろう。つまり、運転手さんはそういったトラブルが後々起きないための予防・対策として道順を聞いているわけである。

 ただ……、と筆者はやっぱり思ってしまう。たとえば、これを美容室に置き換えて考えてみたらどうだろうか。「かっこいい髪型にしてください」というオーダーは、それによって燃える美容師もいるにはいるだろうが、おそらく困ってしまう人が多いのではないか。なぜなら、あとから「イメージと違う」とクレームになる可能性がゼロではないからだ。

 だから、たいていは客のほうも「全体的に少し短めにする感じで」とか「○○カットで」とか「(雑誌を指さして)こんな雰囲気で」などと、だいたいのイメージを伝える。

 タクシーでいえば、目的地を伝えるのと同じである。「なんかいい感じのところまで行ってください」「行き先ならどこでもいい(遠い目)」なんて言ってくる客がいたとしたら、運転手さんも困惑してしまうだろう。おそらく、乗車拒否されるのではないか。