国の基準を満たさない施工不良アパート問題で揺れるレオパレス。かねてより、ずさんな建築や管理体制が指摘されていた。今回の件で、退去が必要になる住民は1万4000人にも及び、事態の収束はみえていない。朝日新書『負動産時代』では、同社がアパートをオーナーから一括で借り上げる「サブリース契約」と呼ばれる手法で管理物件を増やしてきたことを取り上げている。その驚くべき実態とは。同書より内容を一部紹介する。
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サブリースが「負動産」を後押しする
人口減が進む日本で、賃貸アパートは増え続けている。国土交通省の統計では貸家の新設着工戸数は2016年度から2年連続で40万戸を超えた。15年の相続税増税を受けて、「アパートを建てて借金することで税金を減らす」という対策を売り文句に不動産業者が地主に対する営業を強化してきた。
賃貸アパートの経営者は古くから「大家さん」と呼ばれ、所有するアパートを自ら管理・運営することも多かった。近年はこうした「大家さん」という存在は減り、管理会社が入居者の募集からアパートの管理、修繕などを一括して請け負う形態が増えている。その中でも、地主のオーナーが建てたアパートを不動産業者が一括で借り上げ、入居者にまた貸しする契約のことをサブリース契約と呼び、「今はサブリースでなければ新規の建設はほとんどできない」(大手建設会社の営業社員)と言われるほど広がっている。空室の有無にかかわらず、オーナーには家賃が支払われる。入居者募集や物件の管理などは業者側が行う。一見すると手軽に思える手法で、オーナーも安心してアパート経営に乗り出せそうな手法だが、ここに「負動産」を生む落とし穴がある。