33都道府県で1324棟、およそ1万4440人が退去を迫られる事態となった、レオパレス21の施工不良問題。入居者やアパートオーナーの損失はもちろん、レオパレスの経営にも大打撃が予想される。なぜ、こんなずさんな工事を許す事態となってしまったのだろうか?(さくら事務所会長 長嶋修)

「レオパレス物件はヤバい」という
都市伝説を証明してしまった

大規模な施工不良が発覚したレオパレス21の本社
耐火性・遮音性に関わる施工不良が発覚し、入居者約1万4440人が退去を迫られるという前代未聞の事態に Photo:Rodrigo Reyes Marin/AFLO

 賃貸アパート大手、レオパレス21のアパートで、使用した外壁などの部材が、建築確認申請とは異なる仕様で耐火性や遮音性について基準を満たしていないなどの施工不良が見つかり、大騒ぎとなっている。

 その数、33都道府県で1324棟。およそ1万4440人が退去を迫られる。入居者にはお気の毒というしかない。同社のアパートは「どこかの部屋のドアチャイムを鳴らすと入居者全員が出てくる」とか、「テレビのチャンネルを変えると、隣の部屋のテレビチャンネルが切り替わる」といった、都市伝説的な噂がまことしやかに流れていたが、今回それを証明してしまったような形となった。

 コスト削減のため耐火性に劣る違法な部材を使っていた可能性があり、業界では「組織的な不正」を指摘する声も出ている。しかし、当初使う予定だったグラスウールといった素材は、実際に使われたウレタンより低コストであることが多く、この点だけでコストダウンを狙ったわけではないようだ。

 レオパレスは7日の会見で「施行性を優先した」としている。つまり、工期を早めることによる「人件費削減」「金利負担の低減」、ひいては月末・年度末などの決算に合わせた「売り上げや利益の確保」が目的だったと推定できよう。

 また会見で、同社は「現場がやったことだ」としているが、その主張は受け入れがたい。ここでいう現場とは、各地にある無数の下請け工務店を指すものと思われるが、彼らが全国規模で一斉に不正を行ったとは考えにくいだろう。同社はプレスリリースで、複数の図面が存在していたと認めており、建築確認申請の図面と、現場に渡される図面が異なっていた可能性が高い。

 アパートオーナーの怒りも収まらない。この状況で万一火災などの被害が出た場合には、アパートの所有者であるオーナーの責任となる。レオパレスとしては入居者全員に退去を申し入れたうえで、順次建物を改修するとしているが、かなりの時間を要するだろう。工事費はもちろん、空室期間中の家賃もレオパレスが負担するとしているが、工事後に入居者が戻ってくる保証はない。